Isometricの新しいマングローブ方法論

Isometricの新しいマングローブ方法論

株式会社sustainacraftのニュースレターです。

Methodology Updatesは、炭素・生物多様性クレジットの方法論を扱うシリーズです。本記事では、今月初めに公開されたIsometricの最新のマングローブ修復プロトコルについてご紹介します。

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*本記事の執筆者:Nick Lau (Applied Scientist)

はじめに

Isometricは今月初め、Mangrove Restoration Protocol v1.0 (以下、マングローブ回復プロトコル、もしくは単にプロトコル)を公開し、回復されたマングローブ生態系から高品質な二酸化炭素除去(CDR)クレジットを発行するための枠組みを提示しました。マングローブは、炭素貯留の可能性や沿岸保護の便益において注目が高まっていますが、これらのシステムにおける炭素クレジット化は、これまでベースラインシナリオの妥当性、非CO2排出の考慮、そして長期的な耐久性といった課題に直面してきました。本プロトコルではそれらの課題について対応したものとなっています。

本プロトコルの全体的な枠組みは、IsometricのNature-basedソリューションへの広範なアプローチと整合しています。他のIsometricプロトコルと同様に、クレジット化は事後(ex-post)に行われ、観測されたストック変化に基づきます。また、固定的な事前(ex-ante)予測ではなく、空間的にマッチングされた対照地域から構築される動的ベースラインに依存しています。この共通構造は、保守的な追加性と、生態系が時間をかけて回復していく過程での継続的な再評価を意図的に重視していることを反映しています。Isometricの他のNature-basedの方法論については、以下のニュースレターもご参照ください。

Isometricの新しいアグロフォレストリー方法論のドラフト
2025年10月 Methodology Updates (1/2)
Isometricの新しいIFM方法論
2025年10月 Methodology Updates (2/2)

一方で、このプロトコルは、沿岸湿地システムに特化した設計機能も導入しています。これには、メタンや亜酸化窒素の排出を増加させる可能性のある回復方法を回避するための明確な適格性スクリーニングや、炭素プールに対する保守的な扱いが含まれます。これらの適応策は、Isometricの広範な会計アーキテクチャに整合させつつも、マングローブ回復に関連する独特な生物地球化学的および耐久性の課題を反映したものです。

本ニュースレターでは、このマングローブ回復プロトコルの対象範囲と構造を概説し、VerraやGold Standardに基づく既存のマングローブ関連方法論と比較します。また、ベースライン、リーケージ、モニタリング、反転リスクといった中核的な会計概念に対して、Isometricがどのようにアプローチしているかを検証します。それを通じて、同様の回復活動であっても、どの枠組みでクレジット化されるかによって、炭素の成果が実質的にどう異なり得るのかを明らかにします。

1. マングローブ回復プロトコルの対象範囲

Isometricのマングローブ回復プロトコルは、マングローブ生態系の回復を通じて大気中からの正味二酸化炭素除去量を定量化するための要件を定めています。本プロトコルは、マングローブが劣化または失われた地域において、生態学的機能の回復と長期的な炭素貯留の増加を明確な目的として、マングローブ生息地を再確立することを目指すプロジェクトに適用されます。すべての除去クレジットは、Isometric Standardに基づく第三者認証(Validation)および検証(Verification)を経て、事後的に発行されます。

本プロトコルは、活動が在来マングローブ生態系の回復につながり、かつ生態学的および会計上の要件を満たす限り、多様なマングローブ回復プロジェクトのタイプに対応できるように設計されています。適格な活動としては例えば以下が含まれます:

  • 能動的な再植林または播種:在来マングローブ種の植栽や種まきを行うこと。
  • 自然再生の補助(Assisted Natural Regeneration):管理活動を通じて既存のマングローブの回復を促進すること。
  • 水文回復:マングローブの定着と成長を支援するための、潮汐の連結性(Connectivity)回復や水文条件の修正など。
  • 能動的なサイト管理:侵略的外来種の除去や、生態学的適合性を改善するその他の介入を含み、マングローブ再生を強化すること。

これらの介入は、現地の状況に応じて、単独または組み合わせて適用される場合があります。プロトコルは単一の回復方法を規定しませんが、すべての活動がマングローブシステムにとって生態学的に適切であり、プロジェクト設計書(PDD: Project Design Document)に明確に文書化されていることを要求しています。

2. VerraおよびGold Standardとの枠組みレベルの比較

プロトコルの具体的なメカニズムを解説する前に、Isometricのマングローブ回復プロトコルを、広く使用されている2つのマングローブ関連方法論、VerraのVM0033 Methodology for Tidal Wetland and Seagrass Restoration および Gold StandardのSustainable Management of Mangrovesと簡単に比較しておきます。